2013年10月15日火曜日

ひさびさにマトモなSES会社に会った

最近、ネタがSES関連ばかりで「オマエは一体何屋だ?」と自分でもツッコミを入れたくなりますが、またまたとある機会にSES会社の人事担当役員と話す機会があったものでネタにします。

久々に良いSES会社の人に出会ったなと思いました。

(ホワイトVSブラック)



そこはどんな会社?

場所は新宿にある会社で、規模もそんなに大きくはない会社です。正社員は40名程度のようです。メイン事業は特定派遣のまさにSESだそうです。メインは組み込み系で、CやC++、TRONに強みを持つ会社だそうです。
SES会社では、中途採用に力を入れている会社が多いですが、こちらの会社、基本的には新卒(若手)しか採用しないそうです。


どの辺が「マトモ」と思ったのか

私の勝手な感覚ですが、設立数年のIT企業、とくにSES会社に如実に多いのですが、とりあえず新人を大量に採用して、1、2ヶ月研修を行ってどこでも良いから現場で稼働させてお金にしようという会社がほとんどです。そういった会社では、面談でOKが出ず、稼働先が決まらないと、そういった新人エンジニアは肩身が狭い思いになり、最悪の場合は、クビ(という名の自己都合退職)になります。
何が言いたいのかというと、

「1人の人間を社員として受け入れた責任感が全く無く、使えそうも無ければポイ」

という姿勢の会社が多いという事です。「使えそうも無ければポイ」というところも変な話で、「使えそうも無い」と判断する期間が異常に短い会社が多いです。1年未満で判断する会社がほとんどです。
もちろん、中途社員は即戦力として見るのが当然なので、「使えなければポイ」というのは資本主義なので至極当然かと思うのですが、日本の場合は新人はある程度自社内で育成するのが前提で採用しているところがあります(エンジニアで、新卒で即戦力とか探す方が難しい・・・たまにいるけど)。いわゆるポテンシャル採用です。
それにも関わらず、稼働先がなく給料がコストとして数ヶ月のしかかってくるだけで、完全なお荷物扱いして、クビ(という名の自己都合退職)にしている悪いSES会社がほとんどです。
完全に新卒で入社したエンジニア本人が悪いか?というと、実際は社内研修の内容、教育体制、自社の営業力等複数要因がありますので、すぐに育たなくてもエンジニアのせいには完全には出来ないのです。
とはいえ、そういう責任だけは新人自身のせいにされます。(だれも新人をかばって自分の責任にしたくないですから・・・)

しかし、この会社はそんな邪悪な会社が多い中で、一貫して

・しっかりと外に出れるようになるまで自社内で教育を行う
 (面談が通らず稼働出来る現場が無ければ、クビということはしない。外に出ても恥ずかしくないように出られるようになるまでしっかりと面倒を見る)
・先輩社員が入っている既存の現場で稼働させる 

という点にこだわっているそうです。

何故、新卒にこだわるのか?

すぐに売り上げにつながる中途のエンジニアを採用せず、何故新卒の若手エンジニアにこだわるのでしょうか。気になって聞いてみました。そしたらもっともな答えが返ってきました。

「将来を背負ってくれるコアな人材になって欲しいから」

だそうです。補足で話をされた内容があります。「何故中途を取らないのか?」、と聞くと「中途のエンジニアは既に自分のカラー(スタイル・特徴)を持っていて、会社のカラー(スタイル・特徴)に合わなければすぐに辞めてしまう。そうではなくて、新卒から育成する事によって会社のカラーに馴染んでもらい、会社を背負って行ってもらいたい」
ということでした。

なるほどな〜、と思いました。

「古い」という意見もあるだろう

さて、この会社の社員の採用・育成方針には色々と意見があると思います。一番多いのはそんなやり方は「古い」という考えではないでしょうか。
しかし、SES界隈ではエンジニアは現場常駐が当たり前です。そういった中で、エンジニアはいかにその会社にいることの意義を見いだすかが大変です。
大抵の場合は、飲み会や会議(帰社日)でなんとかアイデンティティーを保っているのがほとんどです。しかし、そんなものはほんの少しの会社への不満で一気にかき消されてしまいます。そんな中に、「新人のときから面倒を見てもらった」という義理を感じられれば、また違ったアイデンティティーを持てるのかもしれません。

私は、この会社に良い印象を受けました。

というわけで・・・

というわけで『ひさびさにマトモなSES会社に会った』でした。
エンジニアも人間ですから、よっぽど「Web系に行きたい」とか「とにかくお金をもらいたい」ということでなければ、この会社のように社員にその会社の社員でいることのアイデンティティーの持たせ方は「アリ」だな、と思いました。
まあ、基本新人のみということなので、うまく育成出来るまでは実際やはりコストなので、その許容分をしっかりと蓄えておく必要はありますね。
いや、もしかすると既存社員がそれを了承しているエコシステムが確立されているから成り立つのかもしれません。

何にせよ、新人にとってはこういう会社で働いてみるのも良いかもしれませんね。